記事ID27928のサムネイル画像

季節を食べよう【春】ふきのとうの天ぷらをおいしく揚げるコツ

早春に頭をのぞかせるふきのとうは、春を代表する山菜です。ふきのとうに限らず天ぷらは、山菜を最もおいしく食べる料理法のひとつです。天ぷらはコツさえつかめばとても簡単です。おいしい天ぷらのコツとふきのとうの扱い方を覚えて、おいしいふきのとうの天ぷらを食べましょう。

ふきのとうは春の山菜の代表

一月の初めから三月ごろの、早春と呼ばれる季節に、土や雪の中から黄緑色の丸い頭をのぞかせているのがふきのとうです。
ふきのとうはふきの花で、春先のまだ寒いころに姿を見せ始め、そのあとからふきが伸びてきます。

春になると山や自然の残っているところには、山菜と呼ばれる野生の植物が芽吹きます。
それはふきのとうのように花であったり、タラの芽のように木の新芽であったり、ワラビやぜんまい、こごみのように草の若芽であったりしますが、ふきのとうは特にそれら春の山菜の中では良く知られた存在で、春の山菜の代表ともいえるでしょう。

春の山菜に苦みがある理由

ふきのとうに限らず、山菜には苦みやあくの強いものが多くあるので、調理の時にはまずゆでたり重曹を使ったり水に浸けたりしてあく抜きをする必要があります。
この苦みやえぐみやあくは特にさんさいの若芽や新芽に多く存在しますが、これらは山菜が虫害から身を守るための自衛手段です。

味覚には甘味、辛味(塩分)、酸味、苦味がありますが、動物は甘味から熱量を、辛味からミネラルを、酸味から腐敗を、苦味から毒を感じ取ると言われています。
ですから苦みやえぐみを強くすることで、新しく芽吹いた山菜が虫や動物に食べられにくいようにしているのです。

ふきのとうの苦味は体にいい

しかしこの苦みの中にはわたしたちにとって有益な成分も含まれており、ふきのとうの苦味成分のアルカノイドやケンフェールには、肝機能を高める働き、新陳代謝を促進する働き、活性酸素を抑制する働きなどがあります。

またふきのとうの強い香りには、胃腸の働きを良くする働きがあります。

あくの強い野菜を調理するときは軽くあく抜きをする程度にして、苦味も風味のひとつだと楽しむことでその野菜の持つおいしさを味わうことができます。

天ぷらは山菜料理に最適!

あくの強い山菜を調理するときには、油を使うと抗酸化物質のポリフェノールやカロテン、ビタミン類の吸収が良くなり、苦味が抑えられます。

ふきのとうの天ぷらはよく好んで食べられますが、これは加熱時間が短くあく抜きが不要なためふきのとうそのもののおいしさを味わえ、栄養の吸収にとってもとても良い調理法です。

ふきのとうの天ぷらの下ごしらえをしましょう

ふきのとうの天ぷらの下ごしらえをします。

市販されているふきのとうでも収穫後に水洗いはしてありませんので、まずは表面についているごみや土を払い落とします。
切り口が茶色く変色しているのは傷んでいるからではなく、あくが空気に触れて酸化しているためですから、茶色い部分だけを切り取るだけで良いです。

ふきのとうの一番外側には、紫色や茶色の葉がついていますので取り除きます。
そのあと葉を外側から一枚ずつ折り返すように開いていき、中心の花の部分が出るようにします。
これで見た目も花が咲いたようになりきれいなのと、均一に火が通るので揚げ時間が短くなりおいしく食べられます。

水洗いはできるだけ少なくしてください。
汚れがきれいに払えたら、水で洗う必要はありません。

香りが薄くなってしまうのと、天ぷらをからっと揚げるためにもふきのとうに残っている水分をできるだけ少なくするためです。

市販されているふきのとうはたいていころんと丸い形の、つぼみの状態のものですが、採ってきたものはつぼみが開いて花が咲いたような形になっているものもあると思います。

つぼみの時は前述のように葉を開いて下ごしらえをしますが、花が開いているものはふきのとう自体がかなり大きくなっている場合もありますので、縦に二つに切って揚げても良いでしょう。

ふきのとうの天ぷらを揚げていきましょう

ふきのとうの天ぷらの揚げ油は、ふきのとうの香りを楽しむためにも香りの少ないサラダ油が適しています。
油の温度は野菜の天ぷらを揚げるときと同じで170度が扱いやすい温度です。

天ぷらの下処理をしたふきのとうに、軽く粉をはたきます。これは薄力粉でも良いですが、強力粉はだまになりにくいので、粉をはたくときには使いやすい粉ですので、強力粉も使えます。

またこの後に天ぷら衣がつきやすいように、余分な粉は払い落としておきます。
茶こしや刷毛を使うと粉を均一にまぶしやすいです。

最初に小麦粉をつけるのは、天ぷら衣がつきやすいためでもありますが、小麦粉は素材から出てくる水分を吸収して天ぷら衣のべたつきを防いでくれるためです。

天ぷら衣をつける

天ぷらの衣は薄力粉を使います。薄力粉はグルテンの少ない小麦粉ですので、カラッと揚げたい天ぷらには薄力粉を使うのが適しています。

薄力粉と水を1:1.2の割合でざっくりと混ぜます。
卵水を使っても、薄力粉に片栗粉を混ぜても、お好みでかまいません。市販の天ぷら粉を使わなくてもおいしい天ぷらを揚げることができます。

天ぷらの衣は粉けがなくなるまでしっかりと混ぜる必要はありません。多少粉が残っていても構いませんので、手早く粉と水をあわせる程度で止めておきます。

天ぷらを揚げる

油が十分に温まったら、粉をはたいたふきのとうを天ぷら衣にくぐらせて、油の中に落とします。いくつか一緒に揚げることができますが、油の温度が下がるのを防ぐために、天ぷら油の半分の面積が見えているくらいまでにしてください。

天ぷら油に落とすときは、花の部分が下になるようにします。
花の部分が厚みがあり揚げるのに時間がかかりますので、花が先に油に浸かると全体を同じ時間で揚げることができます。

箸の先でふきのとうの花の部分の衣をさわってかさっとした感触になっていれば、上下を返します。
同じように今度は下になった部分を箸で触れてみてかさっとしてくれば、揚げ上がりです。

しっかりと油切りをして、揚げ網に取ります。
キッチンペーパーよりも網に上げる方が天ぷらの余分な油が切れて、天ぷらのべたつきを防いでくれます。

ふきのとうの天ぷらは天つゆでも、塩でも、味噌だれでもおいしく食べられます。
天ぷら衣から透けて見えるきれいな黄緑色とかわいらしい形、ふきのとうの香りやほんのり残る苦みを楽しみましょう。

ふきのとうの天ぷらで春を感じてください

ふきのとうは春を感じさせてくれる山菜ですが、中でもふきのとうの天ぷらは、春らしい色合いや、香りをそのまま楽しむことができる料理です。
天ぷらにすると苦みも和らぎ、コクが出るだけでなく、ふきのとうの持つ栄養分も摂取しやすくなりますので、ふきのとうの天ぷらで季節を感じる食卓を演出なさってみてください。

関連する記事

この記事に関する記事

この記事に関するキーワード

キーワードから記事を探す

TOPへ