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その旨みに洋食界も注目!!鰹節(かつおぶし)の作り方をご紹介

大変な手間をかけて作られる鰹節。何気なく味わっている煮物や吸い物に欠かせない鰹節ですが、作り方をご存知の方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。鰹節の作り方を知れば、その上手な選び方や使い方なども知っておきたくなるはず。もちろん鰹節を活用した料理の作り方も。

鰹節の作り方Ⅰ 「鰹節」の歴史

 鰹節は、カツオの肉を加熱してから乾燥させた日本の保存食品です。カツオ自体は古くから日本人の食用となっていて、縄文時代にはすでに食べられていた形跡があります(青森県の八戸遺跡など)。
 5世紀頃には干しカツオが作られていたとみられますが、干物に近いもので、現在の鰹節に比較的近いものが現われるのは室町時代(1338年 - 1573年)です。江戸時代に、紀州印南浦(現和歌山県日高郡印南町)の甚太郎という人物が燻製で魚肉中の水分を除去する燻乾法(別名焙乾法)を考案し、現在の荒節に近いものが作られるようになったそうです。

鰹節の作り方Ⅱ 鰹節の名称

鰹節の種類
 鰹節には、原料の切り方や製造段階などによって、さまざまな呼び名があります。
 大型のかつおを3枚に下ろし、さらに半身を腹側と背側の2つに切ったものを本節と呼びます。1尾のかつおから都合4本の節をとります。この本節の腹側を女節(めぶし)、背側を男節(おぶし)といいます。縁起物として結婚式の引き出物に鰹節が使われるのは、本節では女節、男節で対となるところからのようです。
 また、小型のかつおを3枚に下ろし、半身からつくったものをその形から亀節といいます。本節になるか亀節になるか、大きさの境目はおおよそ3kg~3.5kgです。

鰹節の作り方Ⅲ その他の名称

荒節

荒節は「花かつお」の原料に使用されているものです。かび付けする前のもので、コクのあるだしが取れます。

亀節

製法は荒節と同じですが、身が小さい分、燻製する段階で、速く仕上がります。

宗田節

宗田鰹を使って作られた鰹節です。血合部分が多く、だしにとって飲んだ際、コクが強いので、蕎麦屋さんのだしなどに多く使われます。

本枯節

鰹荒節を作ったあと、表面を削り取ります。 その後表面を小刀で整形して、天日干しした後に表面にカビを噴きつけます。1番カビが付いた後、半日か一日天日干しをして、また「蒸し庫」にカビを付ける為に入れます。2番カビ工程を繰り替えして3番カビ、4番カビと付けていきます。こうしてできたのが本枯節です。上品でまろやかなだしが取れます。

鰹節の作り方Ⅲ 作り方の工程

鰹節の作り方 工程①水揚げ~選別

カツオの大きさ、鮮度、脂肪のつき具合を見て、本枯れ節をつくるのに向くかどうかを判断します。40~65cm程度のカツオが使われますが、重さ3kgを境に、それ以上だと本節に、それ未満だと亀節に使用されます。

鰹節の作り方 工程②解凍

鰹は普通冷凍で運び込まれますので、水槽に入れて何回か水を入れ替えて解凍します。解凍をしっかりしないと魚肉に軽石のような小さな穴が空いてしまうので、丸一日掛りの大切な工程となります。

鰹節の作り方 工程③生切り(なまぎり)

 頭や内臓、余分な肉などを除去し、かつお節の原型に切りおろす作業です。先ほどご説明したように三枚におろし、背部からつくられるかつお節を「雄節」、腹部のほうからつくられるものを「雌節」と呼びます。
 魚体が小さく、背部と腹部が切り離されていないものは「亀節」と呼ばれます。

鰹節の作り方 工程④籠立て(かごたて)

次の工程の<煮熟>を行いやすくするために、熱のとおりの良い容器に、加熱されても形がくずれないように整然と並べていきます。

鰹節の作り方 工程⑤煮熟(しゃじゅく)

<籠立て>を終えた煮籠は8~10枚重ねられ、ウインチでつり上げられてから、80℃の湯をたたえた 煮釜の中に漬けられます。
湯を80℃から98℃に上げ、亀節の場合は1時間、本節は1時間半ほど煮熟します。

鰹節の作り方 工程⑥放冷

煮熟し終えたら、煮釜から煮籠を取り出し、風通しのよい所に置き、1時間風にさらします。これによって身をひきしめるのです。こうしてできた節が「なまり節」です。

鰹節の作り方 工程⑦骨抜き(ほねぬき)

カツオのなまり節から丁寧に骨を毛抜きを使い、骨を取っていきます。

鰹節の作り方 工程⑧焙乾(ばいかん)

 培乾とは、いぶして乾かすことです。
骨抜きを終えた段階での節は、68%くらいの多量の水分を含んでいますが、これを蒸発させ、腐りにくくするために行われるもので、培乾の作業は何度も繰り返されます。

鰹節の作り方 工程⑨整形

 培乾はこのあと何度も続けられますが、<一番火>のあとだけ行われるのが整形です。培乾を終えた節の中には身が欠けたり、傷がついているものもあり、そのまま次の工程に進むと、身割れがおきたり欠損個所が拡大するおそれがあり、 これを防ぐためです。
 修繕には、身おろしのさいに骨に付着していた魚肉をかき集めて節を煮塾するときに煮ておき、残っている生肉と混ぜてすりつぶして裏ごしにかけたものを使います。
これを竹ヘラなどで傷にすり込み、形を整えていきます。

鰹節の作り方 工程⑩間歇焙乾(かんけつばいかん)

 培乾が繰り返されます。先の<一番火>と異なって、<二番火>以降は<間歇培乾>といって<培乾>と<あん蒸>を繰り返し、<三番火×四番火>……と行っていきます。亀節の場合で6~8回、本節では10~15回まで行われ、乾燥を終えた節の水分は28%ぐらいまで減少します。
 最後の培乾がすむと、節は2~3日、日に干され、間歇培乾が終了します。できあがった節は、 真っ黒でザラザラしており、その外見から「荒節」または「鬼節」と呼ばれます。

鰹節の作り方 工程⑪削り(けずり)

 荒節は、半日か1日、よく日に当て、樽か箱に詰めてさらに2~3日おきます。表面が湿りけをおびてきたら<削り>の作業に入ります。
 表面のタール分を削り、形を整えながらしみだしてきた脂肪なども取り去ります。真っ黒い「鬼節」は、きれいな赤褐色になるので「赤むき」とか「裸節」といいます。

鰹節の作り方 工程⑫カビ付け

①削りの終った裸節を1~2日、戸外で日に当て(日乾という)、樽か木箱に節を詰め、しっかりとフタをし、カビ室(温度25~26℃、湿度84~85%)に入れます。
16~17日で節の表面が青カビでおおわれますが、最初に発生したカビを「一番カビ」といいます。
②カビのついた節を容器ごとカビ室から出し、戸外で2日間ほど日に干し、そのあとブラシで表面のカビを払い落とします。
風通しのよい日陰に干して温度を下げてから、節を容器に詰めなおし、カビ室に戻します。
③2週間ほどでネズミ色をした「二番カビ」が付くので、それをまたブラシで落とし、放冷ののち容器に詰め、フタをしてカビ室に移します。そこではえたカビが「三番カビ」で、カビを払い落としたら、このあとカビ室に戻さず、外気中に置いてカビがつくのを待ちます。二番カビ以上カビ付けを繰り返したかつお節を「枯節」といいます。
品質表示では、カビを付けない物を「かつお節」と称し、 二番カビ以上付けたものを「かつおの枯節」と表示することになっています。
三番カビ以上付けると「本枯節」になります。

鰹節の作り方 工程⑬天日干し

この状態になると皆様が日頃見ている鰹節の形に近づいてきます。

鰹節の作り方 工程⑭完成

鰹節の作り方Ⅳ 何度もカビ付け工程を繰り返す理由 

この工程は、かつお節のうまみをつくり出すうえで次のような重要な働きが隠されています。
①カビが自分の生態を維持するために、かつお節の芯から水分を吸い上げるため、全体が乾燥する。
②他の有害菌の発生が妨げられる。
③アオカビ(カツオブシカビ)の脂肪分解力によって表面に浸出した脂肪の魚臭を除去し、脂肪酸に変えることで、脂肪が水溶性になり、うま味が生じる。
④カビによるタンパク質の分解によって、アミノ酸その他の窒素酸化物によるうま味がでる。
⑤カビの脂肪分解力による中性脂肪の分解によって、遊離脂肪酸が増加することにより、煮出した“だし”のにごりがなくなる。

鰹節の作り方Ⅴ 鰹節の保存方法

①鰹節を常温保存する。
常温保存す場合は、涼しく湿度の少ない所に保管ください。
温度差が激しかったり湿度が多いと変色したり、青カビが付いたりします。この場合、天気にいい日に鰹節の表と裏を交互干してください。(3時間~4時間程度)干した後付いた青カビなどを払い常温になるまで、日陰で冷まし保管ください。
このように手入れして頂ければ鰹節は、長期にわたり美味しく召し上がれます。

②冷蔵庫で保存する。
新聞紙やキッチンぺーパーなどに包みその上から、ビニール袋などで、2重に包んで
冷蔵庫で保存する。鰹節を沢山包んだりするのは、乾燥を防ぐのと、冷蔵庫の中の
他の食べ物の匂いが鰹節に付かないようにするためです。冷蔵庫の中は、大変乾
していますので、長い間、保管されますと、鰹節が乾燥しぎて削った時に粉になってしまう場合がありますが、保存する方法として、1番堅実な方法だと思います。

③鰹節の干し方
鰹節は、温度差や湿度により変色したり青カビが付いたりします。この場合は、鰹節を天日に干して頂ければ、問題なく召し上げって頂けます。特に6月~8月にかけては、湿度や温度の変化の激しい時期ですので保管してある鰹節を1週間に一度は、チェックしてみてください。

鰹節を干す時は、下に新聞紙などを引き日当りのいい所に干してください。
鰹節を天日干しするペースは、1ヶ月~2ヶ月に1度で、3~4時間程度です。
 (青カビなど発生していたら、天気になり次第干してください。)

冷蔵庫から出した鰹節の場合は、袋に入ったそのままの状態で、1時間ほど置き
常温に戻してから鰹節を取り出し、天日に干してください。そのまま干すと鰹節のカビ
がはがれ落ちてしまう場合があります。

鰹節の作り方Ⅵ 美味しいだしの作り方

一番だしの作り方

豊潤な味と香り、そして濁りのない上品な琥珀色が特徴。吸い物、みそ汁、茶碗蒸し、そばつゆ、うどんつゆなどにぴったりです。煮立ったら火を止めて、削り節が沈むまで待ってからさっと濾すのがポイントです。

材料
 鰹節 30g
 水 1,000ml(カップ5杯)

一番だしの作り方①

鍋に水1,000mlを入れ、沸騰したら火を止める。

一番だしの作り方②

削りぶし30gを入れて、1~2分間おく。

一番だしの作り方③

ざるに布またはキッチンペーパーをしいて、削りぶしをこし、1分間おく。 だしとして、約800ml(味噌汁約4杯分)取れます。
※削りぶしをこす際、絞るとえぐみが出ますので、絞らないでください。

二番だしの作り方

香りはやや弱くなるものの、濃い旨味が特徴の二番だし。
煮物、炊き込みご飯、鍋物などにどうぞ。
まだ旨味が残っているので、沸騰したら弱火にかけてじっくりと素材を引き出します。香りが弱すぎるようであれば、少量の削り節を足すのも一般的です。

材料
 一番だしのだしがらのけずり節 削り節30g相当
 水 500ml(カップ2.5杯)
 追いがつお用けずり節 4.5~5g(けずり節5gまたはフレッシュパック1袋)

二番だしの作り方①

鍋に一番だしのだしがら及び水500mlを入れ火にかけ、沸騰後、弱火で3~5分間煮出して火を止める。

二番だしの作り方②

1にけずり節4.5~5gを加えて、1~2分間おく。

二番だしの作り方③

ざるに布またはキッチンペーパーをしいて、削りぶしをこし、1分間おいた後、軽く絞る。 だしとして、約440ml取れます。

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